お知らせ

アレルギー性鼻炎について

 6月に入りスギ・ヒノキの花粉症は一段落つく時期となりましたが、引き続き鼻水・鼻づまりの症状でお悩みの方もいらっしゃると思います。鼻水・鼻づまり・くしゃみを引き起こすアレルギー性鼻炎は、花粉症に代表される季節性アレルギー性鼻炎と、主にダニによる通年性アレルギー性鼻炎に大別されます。

季節性アレルギー性鼻炎は主に花粉によって引き起こされます。我が国で頻度の高い花粉抗原として、春にピークを迎えるスギ・ヒノキの花粉、主に初夏ですが4~10月の長い期間に飛散するカモガヤ・オオアワガエリなどのイネ科花粉、夏から秋にかけて飛散するブタクサ・ヨモギなどのキク科花粉が知られています。

通年性アレルギー性鼻炎は、主にダニが原因抗原となります。一年を通じて保温・保湿された居住環境がダニの繁殖に好条件となっています。

アレルギー性鼻炎の対策、治療について述べます。まず、アレルギー性鼻炎の原因となる花粉やダニなどの抗原を除去・回避することが重要です。花粉・ダニとも掃除が大切なのはご存じの通りですが、花粉についてはシーズンには帰宅時に衣類を払うこと、ダニについてはダニを通さない寝具の使用が有効です。治療は、薬物治療が中心となります。一日に1~2回の抗ヒスタミン薬という内服薬が用いられることが多く、最近は副作用の眠気や作業効率の低下が少ないものも開発されています。他には、ロイコトリエン受容体拮抗薬や鼻噴霧用ステロイド薬なども選択されます。また、アレルゲン免疫療法といって、スギ花粉症とダニ通年性アレルギー鼻炎の方に長期に渡ってそれぞれの抗原を投与することで根本的な体質改善を期待する治療も行われています。さらに、手術療法も有効な治療法の一つです。手術療法は、薬物療法が効きにくい方、何らかの理由で薬物の使用ができない方や避けたい方、短期間での治療効果を希望する方に適しています。鼻中隔弯曲(鼻の真ん中の壁の曲がり)や下鼻甲介肥大(鼻の中の粘膜のヒダの腫れ)などの鼻の中が狭くなっている方には特に有効です。手術治療法は、鼻の粘膜の一部をレーザーで変性させる手術、鼻中隔・下鼻甲介の形を改善させる手術、鼻水やくしゃみの症状に関わる末梢神経を切断する手術などが一般的に行われています。

我が国における近年の調査では、国民の約2人に1人がこれらのアレルギー性鼻炎を発症していることが報告されました。症状でお悩みの方は、それぞれに適した治療法を選択するために、耳鼻咽喉科に受診されることをお勧め致します。

令和4年6月発行 救急便り131号より
東京みみ・はな・のどサージクリニック 渕上 輝彦 先生